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村から森の中へ少し入った所に木々を組み合わせただけの簡素な小屋がある。
釘も使われず、雨風を何とか防げる程度。
そこが飛田拓馬と犬飼和哉の秘密基地だ。
そこには町で拾った雑誌や手作りの玩具が置いてある。
今その中で拓馬と和哉は小さな箱を囲んでいた。
箱の中からは何かが動き回る音と小さな鳴き声が聞こえる。
二人は箱の中で鼠を飼っていたのだ。
「雄が六匹に雌が五匹か。これならすぐに毎週遊びに行けそうだな」
鼠の数を数え和哉は満足そうに笑った。
「だよね! 毎日遊びに行くのだって夢じゃないよ」
拓馬も一緒になって喜ぶ。
「いや~、何でもっと早く気付かなかったんだ。でも拓馬のお陰だな」
「へへ。そう?」
秘密基地を出ると和哉は腰を伸ばす。
「それじゃあまた夜になったら集合な」
「分かった。あ~あ、早く夜にならないかなぁ」
二人は笑いながら森の中から出てくる。
それをかっぷくの良い女性が見つけると、すごい勢いで二人に近付いて来た。
遅れて和哉も女性に気が付いた。
「ヤバい母ちゃんだ! 手伝い頼まれてたの忘れてた」
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