狛狐

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パンパン! 「きょうも たのしい一日に なりますように! いってきます!」 小さな男の子は社に手を振り、階段を駆け下りていった 「あないな声で言わんでも聞こえるわい」 フッと笑みを浮かべ男の子を見送ったのは狛狐の "ハク"お狐さまだ 社の屋根に寝転び大きな尻尾を気だるそうに揺らし あくびをひとつ・・・ 「…ファ…暇……」 ここは参拝に訪れる人もいなくなりボロボロに寂れた神社 あの男の子が来るようになったのは1ヶ月前の桜が咲いていた頃からだった 真新しいランドセルをカタコトと鳴らしながら毎日訪れる 朝は "楽しい一日を" と願い、帰りはその日の出来事を話していく
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