第三章 / Tercer Capitulo

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親愛なる孝臣(たかおみ)へ  貴方に二つ伝えたいことがあります。  まず、一つ。  さっきはごめんなさい。言い過ぎました。  貴方がいてくれたから、私のこの半年間はとても楽しい時間になりました。仕事で悲しいこともあったけど、貴方と会える週末が私を元気づけてくれた。貴方との最後があんなに悲しい時間になってしまったことを、本当に残念に思っています。  つぎに、二つめ。  私はもうすぐこの街を去ります。  みんな優しくて、善意に満ちた不思議な街でした。外国にこんな街はありません。だから寂しいけど、もう行かなくてはなりません。  不思議といえば孝臣(たかおみ)、貴方も私にとって不思議な人でした。何を考えているのかよくわからなくて、私を不安にさせます。貴方といるのは不安だけど、とても楽しい。不思議だと思いませんか。  私の心の中には、こういう不思議な気持ちを表す言葉があります。でも、貴方の心の中の言葉とは少し違ったのかも知れませんね。  半年間、ありがとう。どうかお元気で。  アストリッド・エクダール
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