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彼女と向かい合って立つ。
小さな頭部とのバランスからかなりの長身に感じられたが、実際にはオレよりも少し小柄だった。172~3センチといったところだろうか。
額にかかった髪を?き上げて、こちらに視線を合わせてくる。夕陽が眩しいのか、かざした手の下で光る瞳は翡翠(ひすい)色だった。
後方から、車のドアが閉じる音。振り返ると、さっきのタクシーが別の乗客を乗せて、さっさとロータリーを出ていくところだった。
残されたのはオレと、目の前でさらに困った表情をしている彼女だけ。
「アノ……」
手の平を胸に当てて、彼女が話し始める。
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