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「わかった。あさごはん、食べましょう」
「え、いいの? まだ勉強してたんじゃ……」
「おわりました。たかおみ、まってるあいだに。ぜんぶ」
そう言って、フッと笑みを漏らす彼女。サングラスを少し下ろして、悪戯っぽい表情でこちらを見上げる。朝日を反射した薄翠色の虹彩が、瞳に花弁が宿っているみたいに見えて、思わず見惚れてしまう。
マズい。やっぱり凄く綺麗だ、この人。
そう思った瞬間、ガバッと立ち上がった彼女はテラスを舞台に見立てて踊り始める。またか。ガラス窓を隔てた朝の図書館内で、こちらを見たまま驚いた表情でフリーズしている職員さんが約数名。実に申し訳ない。
「だいこんー おろーしー そーばー」
「いや、だから蕎麦屋のメニューに変な旋律つけるのやめようよ」
「なーぜーでーすかー」
「それに、まだ時間早いから開いてないよ、蕎麦屋さん」
「がちょーーーん」
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