第三章 / Tercer Capitulo

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「つまり被告は、本日もアスティと二人っきりという誰もが羨む時間を享受しながらも、友人以上の関係に踏み込むこともなく、いつも通りおめおめと逃げ帰ってきたと」 「逃げ帰ってないって、ヴィクトル。フツーに笑ってさよならしただけだよ」 「信じられない。貴方達、もう何ヶ月になると思ってるのよ。ワタシならとっくの昔にやる事やって子供作って、そろそろ別れる頃だわ」 「いや、人としてダメでしょ、それ。ってゆーか、女とできるんですか、店長」 「言い訳は聞き飽きた。介錯してやる。そこになおれ」 「いやいや、どこにあったんですか、そのやたら長い包丁。洒落になってないから、マスター」  ほろ酔いオッサン連合の追求をのらりくらりとやり過ごしながら、自分の情けなさをビールで流し込む。そうだよなぁ。でも、なんて言うか、アスティからもそんな雰囲気を感じないというか……
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