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鉄の臭いを感じて目を開けると、自分の持つ包丁が女の腹に深く突き刺さっていた。
生温かい血が俺の手を濡らしている。
「うっ、うわぁっっ!」
包丁を離し後ずさりすると、女がその場に崩れ落ちた。
乱れた黒髪の隙間から見える目は空を見つめていた。
………死んでいる?
殺した?殺したのか?!殺した?!
俺が!俺が!!俺が!?
正当防衛だろっ?!いやっ、誰が信じる!?
俺はパニックになっていた。
その時、着信音が流れた。
血のついた震える手でケータイ電話を触る。
着信画面には彼女の名前………。
その名前を見て少し冷静さを取り戻した。
彼女を本気で愛している、失いたくない。
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