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これで本当に解放される………。
桜の木を見上げた後、踵を返し車に向かおうとした。
その瞬間、風が一瞬俺を吹き抜けた。
「………サナイ………」
その風に乗って声が聞こえた気がして、慌てて辺りを見回す。
誰かいる気配を感じず、あの女への恐怖を思い出し俺はその場から慌てて逃げ出したーーー
ーーー半年後。
世間は桜が咲き誇る季節になっていた。
「あのね、すっごい桜が綺麗な場所見つけたの!あまり人が来ない場所だから、絶対穴場だよ、行こうよ~」
彼女がそうしつこく言ってくるので、仕方なく行くことにした。
「私が運転するから、着くまで寝ててもいいよ~」
忙しい年度末を乗り切り新人が入る新年度を迎え、とても疲れていた。
だから彼女の言葉に甘え、俺はいつのまにか深い眠りに落ちていく………
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