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「うわぁぁぁぁ!!」
「きゃぁっ!」
自分の叫び声と同時に彼女の声が聞こえて目を開くと、そこは車の中だった。
夢………だったのか?
「あ~、ビックリした!」
少し怒りを含んだ驚きの声に、軽く謝った。
「ごめん、なんか嫌な夢見てた。」
俺の言葉に、彼女は心配の表情を浮かべてくれる。
それを嬉しく思い、大丈夫だよと彼女の髪をくしゃっとやった俺は周囲に目を向け、先程の夢以上に嫌なものを見てしまった。
見覚えのある光景………
半年前に来た、あの女を埋めるために来た森の先の枯れた桜の大木。
いや違う、枯れていない。
目の前の桜は咲き誇っていた。
見ていると引き込まれてしまいそうになるほど、とても見事に。
だが同時に、あの女の気配を感じた気がする………。
ここを離れなければならないと思った。
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