日常の片隅に

桜の木の下には

ここは自分の好きな場所だと、いつかこの桜はまた花をつけるんだと、女は言った。

うんざりだった、限界だった。

枯れ木を見てそんな話聞いて何が楽しい？

「別れちまえよ。」と、悪友にも言われた。

いざ別れを切り出した時の、初めて女が感情を表に出したときは正直驚いたが。

「あなたと別れたくない！！」そう、ヒステリックに女は涙を流しながらわめき散らした。

それを無視し、一方的に別れを告げた。

まだ家を教えてなかったから、連絡さえ取らなければそれで終わりだ。

そう思っていた。

結局、休まずケータイ電話が鳴るから番号を変えた。

別れを告げてから２、３ヶ月ほど経つと、周囲にあの女の気配を感じるようになった。

最初は少しは罪悪感を感じてるからかと思った。