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私は会社を辞めた。体調が思わしくなく、大事をとるように言われたからだ。
隣でそっと私のお腹を撫でている彼に言われたのだ。
「来月は、いよいよ会えるね。」
彼が声をかけるとそれに反応してお腹がぐにぐにと動いた。彼は手のひらでその感触を感じ、とても喜んだ。
「俺は幸せだよ。こんなにかわいい妻と我が子が出来るなんて夢のようだ。」
「私こそ夢みたい。あなたと結婚できるなんて思ってもいなかった。私なんて……」
続きを飲み込んだのは彼が唇をふさいだからだ。
「あの日から君が頭を離れないんだ。」
あの日とは、初めて一緒に帰った日のことだ。コーヒーを飲んだ日だ。間違ってスタンプを押した日だ。
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