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やっと彼を手に入れることが出来た。
会社を辞めるとき、隣の席の彼女に言われた。
「一体どんな手を使ったのよ。今度教えて、今後の参考にするからさあ。」
次は転勤してきた別の人を狙っているのだと笑っていた。さえない女の大躍進は噂だと悪気なく教えてくれた。
私は彼のために頑張っただけと答えた。私も本当のところは分からないのだ。
きっかけは彼のお姉さんと同じ傘を持った女が同じ会社にいて帰りの電車が同じになった、だから声をかけただけだ。
その傘を急に使い出したのも、駅で彼に笑顔を向けたことも、ラブのスタンプを送ったことも全て自分がそうしようと思ってしたことではない。
勝手にそうしてしまったとしか言いようがない。偶然が重なって彼の気に留まっただけだ。
幸運が重なり交際に発展し努力を重ねた。努力が実を結び、お腹に彼の遺伝子と私の遺伝子を合わせた自分とは別の生命が誕生した。
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