8人が本棚に入れています
本棚に追加
彼は私と同じ駅で降りた。
駅にあるファストフードでコーヒーを一緒に飲んで、また改札口へ戻って行った。彼の降りる駅はあと二つ先だ。
彼のリードが上手だったので会話がスムーズに出来た。コロコロと笑い、彼も楽しそうに会話を続けた。気が付くと1時間もしゃべっていた。
「コーヒーに付き合ってくれてありがとう。また明日。」そう言って彼は先に店を出た。
彼が帰った後、まだしばらく席にいた。テーブルに置いたスマートフォンの画面を何度も撫でていた。
彼のプライベートの連絡先がそこにある。アイコンは彼の愛犬だ。
じっと画面を見ていると彼からスタンプが届いた。かわいいキャラクターが「またね」のメッセージとともに画面で動いている。
即、既読になってしまった。画面を見ていたことが丸わかりだ。すぐに「ありがとうございました。とても楽しかったです」と送ろうとした。
それなのに、指が震えて関係のないスタンプに触れてしまった。
ハートを抱いたパンダのスタンプを送ってしまった。ハートから「ラブ」の文字が飛び出している。
最初のコメントを投稿しよう!