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『見つかっちゃったね。まー君は小さいから、すぐに見つからなかったでしょ?
お父さんに頼んで、巣箱に隠れちゃいました。
かくれんぼをすれば、まー君は探してくれるよね。姿は見えなくても一緒にいられると思ったの。
本当は、見つけて欲しくなかったな。だって、まー君と一緒にいたいから……
ご飯をつくってあげたいな。一緒にお風呂に入りたいな。
夜は怖くない? 一人で寝れる? 朝寝坊さんだから、心配だよ。
でも、まー君が元気でいてくれたら、お母さんは幸せです。
産まれて来てくれて、ありがとう。まー君は、お母さんの宝物だよ』
嗚咽交じりの涙が止まらない。
あの日、大人たちは口を揃えて、お母さんはお空に行ったんだよって言った。
でも、父は言わなかった。泥だらけで母を探しても、何も言わずに見守ってくれた。
だから僕は、母を近くに感じていたんだ。
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