第一章 聲と出会い

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歌が終わると、ゆっくりとした手で晴敏が拍手する。 「やめろよ、こんな歌に」 「いや、よかったよ。聴けてよかった」 「世辞にも聞こえねーよ」 「いや、よかった。感情が篭っていたよ。なんつーか、悲しい歌だけどな」 それを聞いて裕翔はすこし俯く。 「……最近明るい歌が作れなくなってな。こんな悲しい辛い歌ばかりが頭の中に浮かんでくるんだよ」 「……そっか。やっと素直になれたんだな」 「え?」 そういっ言った晴敏の顔を、裕翔は見上げる。 その晴敏の顔は、柔らかく笑っていた。 「¨あのこと¨があってから、ユウは辛い顔を表に出さなくなった。それが俺は心配だったんだよ」 「……そう、か。俺はいつの間に」 この二人は、誰にも測れない友情が、お互いの間に浮遊している。 時に風に流れ、時に穏やかに浮かぶそれは、二人を『友情』という縁でつないでいた。
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