プロローグ

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とある少女は、幼いにして誰もを魅了する歌声をもっていた。 小さい頃から恵まれていた。 認められていた。 誰もが自分の歌を好きでいてくれて、誰もが自分の歌に笑顔になってくれたりする。 でも、彼女は自分の歌を聴いた両親が笑顔になることだけが嬉しかった。 しかし。 時は有限なり。 否、運命は残酷とでも言うのだろうか。 彼女が13歳にして、両親は他界してしまった。 事故とては稀な、電車の脱線事故だった。 それから、彼女は歌を歌うことが出来なくなった。 歌を歌う理由がなくなり、歌すらも嫌いになる。 小さい頃からの生き甲斐だった歌を無くし、彼女はやがて、誰とも最小限の会話でしか話せなくなったという。 でも、心のどこかで、まだ助けを求めているのなら。 あるいは───
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