第一章 聲と出会い

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それからというもの、裕翔は彼女のことが気になって仕方がなかった。 決して彼女の様相などに一目惚れしたわけではないのだが、彼女の声を聞いた時の衝撃が忘れられないのである。 「んー……」 放課後直前のホームルームが終わっても、彼はぼーっとそればかりを考えて外を見ていた。 すると、 「おいっ」 真上から綺麗な手刀が裕翔にふりかかる。 「いだっ!?」 思わず振り返ると、そこには昔から仲のいい野球部のエース、城島 晴敏(きじま はると)がいた。 身長が高く、運動もできて成績優秀。 裕翔とは正反対な男なのだが、小学生時代から最後に名前に『と』が付く理由で仲良くなってから、『ユウ』『ハル』と呼び合うような、なぜか暇があれば一緒にいる仲だ。 「いってーな、何すんだよハル!?」 「だって、今日、お前ずっとぼーっとしてっからさ。何かあったんかなって思ったからよ」 「だからってチョップはねーだろ。少しは加減しろよ!」 「あまりにアホズラしてたからついな。んで、なんかあったん? 暗い顔をしてるようには見えないがボケーっとしてよ」 「あー、まぁ。なんか、こう、人にここまで感動したのは始めてっつーか」 「感動?」 「あーそう。感動。そーいや今まで本当に生で、人に感動したことなかったなーってな」 「さては説明する気ないなお前。女でも一目惚れしたか?」
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