#05

14/17
1346人が本棚に入れています
本棚に追加
/136ページ
◇   ◇   ◇ 「いやぁ、ほんまびっくりやなぁ」 難波が隣でニコニコしながら仕事をしている。 今日はこれでもう何回聞いていることか。 その度に成瀬のこめかみにピクピク血管が浮く。 仕事に支障はないが、かなり鬱陶しい。 「お前、もうそれやめろよ」 「ええ? なんでやのん? なるちゃんがようやく僕らに心をひらいてくれたんやん。それが証拠に、タメ口でしゃべってくれるん、めっちゃうれしいんやで?」 少なくとも前の会社で心を病んだ成瀬は、自分を守るために他人との間に一線を引いた。 それはどんな相手にも本当の自分を見せないことで、口調にも表れていた。 だが今は違う。 いいやり方だとはいえなかったが、杉崎のおかげでもある。 「俺は鬱陶しい。お前がすぐに頬を触ってくるところも、面倒くさい」 「うわぁ、なんか心を開いた途端、辛辣やなぁ」
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!