経済的モラハラ

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レシピを教えて、とセツコさんに言われたので書いて持っていくとお返しと言ってみかんの形のアクリルタワシをもらった。 「可愛い!」と言って喜ぶと 「編み方を教えようか?」と言ってくれた。 マスターの方を見るとうんいいよ、と頷いてくれる。 夕方なら人も少ないし、奥のボックス席を使うといいよと言ってくれた。 私の仕事が終わるとセツコさんは友人を連れてまた喫茶店に来てくれた。 そして編み方を教えてくれた。 「こんにちは」とニコニコしながら自己紹介してくれたのはヨウコさん。 「私も仲間に入れてね」と言われてこちらこそと慌ててお辞儀をする。 睨みつけられないで話ができる人達…ホッとした。 私が悪いから睨みつけられてるのか? 最近はそう考え始めていた。 だって理由が見つからない。 そうじゃなきゃあんなに睨まれるのはおかしい。 大の大人のすることじゃない。 私はまだ夫のモラハラ行為に気づいてなかったんだ。 全く分かってなかった。 久しぶりの編み物で最初の部分はセツコさんが説明しながら編んでくれて、ある程度まで編んだら「はい」と私に渡してくれた。 そこからは同じ編み方の繰り返しでどんどん手が動く。 セツコさんのお友達のヨウコさんと一緒にどんどん編んでいく。 あっという間に1つ出来上がり、次はセツコさんがゆっくり編んでくれてるのを見ながらもう1つ編んだ。 編み終わった後にコーヒーはお菓子のお礼だよ、とマスターが出してくれた。 私は常連さん達とだんだん仲良くなれてきて嬉しかった。 次の日、マスターに 「コーヒーにつけるクッキーと焼き菓子を作ってくれないだろうか。」 と頼まれた。 商品として出すのだから喫茶店の厨房を使ってもらう事になるけど、と言われて 「やります!」と私は即答した。 昔からお菓子作りは好きだった。 昔から大事にしていた本や切り抜きから思い出しながら順番に作っていくのも楽しかった。
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