経済的モラハラ

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自転車に乗ってまずは駅前に向かって走って行く。 私のイメージだとパートは自転車で行ける距離だと思っていたが…。 何にもない所だなあ。私はぐるりと見渡してため息が出た。 私はまだここに来て二日目だ。 どこに何があるかさっぱり分からないのに職探しから始めなきゃいけないなんて。 ここから少し大きい街まで電車で20分かかるしなあ。 なんだか悲しくなってきた。 全然楽しくない。 毎日睨みつけられているし。 私は今朝のあの目付きを思い出した。 いや。 思い出したのではない。 頭の片隅にいつもじっと睨みつけられてるような気持ち悪さがあってそれが私の気分を暗くする。 結婚すると急に相手は変わるんだろうか。家族になると男の人はこんなに豹変するんだろうか。 小さい街とはいえ訳が分からず走って行くのは怖いので目星をつけてあそこの角まで、とか戻れる範囲であちこちフラフラ走ってみた。 駅前も閑散としていたけど少し走ると何にもない。 住宅地とまばらにある畑、田んぼを抜けていく。 私はため息をついて駅に戻った。 古いロータリーの端にあるベンチに腰を下ろしかけて喉が乾いていることに気づいて腰を上げてのろのろと後ろにある自販機に向かった。 缶ジュースを選んでふと見ると アルバイト募集! と張り紙がある。     
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