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「な、なんなのよ?!」
人通りの無い閑静な住宅の建ち並ぶ、街路灯の点在する路上の死角……左右にはコンクリートで建てられた5階建てのマンションが他人の騒ぎを無視するように拒絶した壁を晒している。
「何よ?!なんとか言いなさいよ!」
学校帰りの制服姿の彼女が引き吊った顔で、眉間に皺を寄せて目の前に居る私に声を荒げる。
いいわよね……学校に通えてて……
私はあなた達のお陰で通えていないのにね。
怯える様は、醜い。
まるで……以前の私のよう。
「近寄らないでよ!キモい!」
手に持つ鞄を振り回し牽制してくるが、空振りして逆によろめき、壁に凭れかかる……ゆっくりとした足取りで詰め寄る私から視線が逸れる。
「ねえ、私、まだ臭うかな?……臭い?」
マンションの壁際へと迫り、逃げ場を探して辺りを窺う彼女に平静を保ち、笑んで問い掛けた。
彼女は小さく悲鳴じみた声を上げ、更に灯りの見える奥へ駆け出そうとする。
その腕を掴んで力任せに引き寄せ壁に打ち付け、顔を覗き込んでにっこりとして話掛けてやる。
「ねえ、臭いんでしょ?あのね、臭わないようにしてあげる」
「ひあっ!や、やめっ……!!」
私は彼女の髪を掴んで押さえ、右手に持つ1キロほどの石を彼女の鼻目掛けて撃ち込んだ……
「へぶっ!」
ゴキュッ!ガシュッ!ガシュッ!っと、何度も何度も撃ち込んで、嗅覚を司る鼻を潰してあげる。
腕を振るたびに彼女の血飛沫がピシャピシャと飛び散ってきたけど、彼女が嫌がって暴れなくなるまで止めてあげなかった。
だって、私を臭いって言うのだもの……
可哀想でしょ?
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