願い

2/8
前へ
/19ページ
次へ
私ハ醜イ。 「臭ぁ~い」 「何の臭い~?」 「やだぁ~汚~い」 きゃあきゃあと何処から吐き出しているのか理解出来ない鼻につく音で、楽し気に顔を歪める。 「ウザ~い」 「目障りぃ~」 「何で居んのぉ~?」 群れていなければ何も出来ない臆病で憐れな生き物。 他人を見下し、蔑む事で自己を確立しなければ生きて居られない……憐れな生き物。 私ハ醜イ。 『神さま、お願いです。 ……私を美しくしてください』 毎夜、寝る前に必ず私は部屋の窓際で膝を立てて両手を組み夜空に願いをかける。 流れ星を待っているわけではない。 こんな事で何かが変わるわけでもない。 そんな事は、判っている。 私はそこまで子供じゃない。 私はそこまでバカじゃない…… けれど、そうしなければ私は私でいられないほど、自分が醜く思えてならない。 ─────……許セナイ。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加