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そんな日に限って大雨なんて、どっかで読んだ小説のワンシーンみたいだ。
大きなライトが目に飛び込んで眩しくて、ほんの一瞬だけあんたが見えなくなって。
やっと開いた目に飛び込んできたのは、まるで星空に吸い込まれるように宙に舞う鉄の塊と、あんた。
ヘルメットはあたしが抱えたままだ。
いつものように綺麗な栗色の髪がゆらって揺れて、くちびるが動いたような気がする。
「あほ、見んなやー」
最後尾の四輪から見てたあたしの脳裏に焼き付いて離れない。
あの日からどんなにどんなに夜空に願っても、帰ってこない。
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