一匹目:出っ歯

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「お月様、どうかお願いします。背が高いとか、イケメンだとか、欲張りは、言いません。ただ、彼氏が欲しいだけなんです」 …はぁ。 美月は部屋の窓から、夜空に光る満月を見ていた。 『美しい月』と書いてみづき。 完璧に、名前負けしてしまった。 もう少し、可愛かったらできるんだろうか 美月は鏡に映る自分を見る 目は、くりくり。悪くない。 髪は、若干ベタベタ?でも、キューティクルはばっちり。 じゃあいいじゃない。可愛いわよ? ─いや。 顔のパーツの中でも、なかなか重要なポジションに位置する者がいる 「うぅぁあもうっ!!!」 美月はさっきから両手で自分の前歯をぎゅうぎゅう押している そう。全ての元凶はコイツなのだ。 「…もう嫌やわ…こんな出っ歯…」 苦戦すること18分。完敗だ。 なかなかに生意気なヤツ…。 「はぁ…。絶対出っ歯のせいやん。彼氏できやんの」 美月は再び月を見る 暗闇の中で光る月は、 「うふふ。私は夜空の主役よ。キレイでしょ?」 美月を挑発しているように見える。 ─むかつく。
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