第1章 花粉症とハルマゲドン

2/5
前へ
/5ページ
次へ
春先の桜の花が散ったばかりの季節に、 僕は病院の中にいた。 何故だか分からない、この季節になると、 花粉症が悩ませる。 季節の変わり目だろうか、でもこの季節が 一番鬱陶しい。 不思議と慣れたのだろうか、花粉症が 春の儀式となってしまった。 ショボショボする眼を擦りながら、 ひたすら順番を待っている。 病院内は消毒の匂いなのだろうが、 鼻が詰まっており全く分からない。 花粉症男とレッテルを貼られ、もどかしい 自分にも時々イラッとする。 鼻水と咳がいつまでも止まらない。 せめて一度でいい、この鬱陶しい季節を 快適に過ごせたら。 そう思考していたところ、満月に 向かって願いを唱えると、願いが叶うと 噂を聞いた事がある。 本当かどうかは判断できない、だが 藁をも掴む現状ではいた仕方ない。 「今夜、試してみるか」 僕は半ば諦めの心境になりながら、 深いため息をつく。 これでため息は何回めだろう、いつもより 回数が多い。 1999年のノストラダムスの大予言を 信じていた僕にとって、何も起きなかった 事象が衝撃的だった。 2012年のマヤ文明の暦に対しても、大いに 期待を持ったものだ。 しかし、何も起きなかった・・・ 僕の心にぽっかりと穴が開いて、穴から 魂が抜け出し、腑抜けになってしまった ようだ。 そこで僕は一考した、神や悪魔が ハルマゲドンを起こさないなら、自分が 起こしてやろうと。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加