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「ところがねぇ、人の縁とは不思議なもので。私は今は独りで老人ホームに入ってるんですけど、逢っちゃったんですよ」
「え?」
「帰って来なかったはずのあの人と。何て言うかこう、記憶の中では物凄い美青年だったんだけど。皺に埋もれてどうでも良くなっちゃってるし、頭は潔く散ってるけども。この手紙を渡して一緒にお散歩するんですよ」
琴枝さんは上品に微笑んだ。
その笑顔は少女のように見えた。
夜空様夜空様。
どうか二人があの頃を取り戻し、一日でもながく一緒にいられますように。
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