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「そうか、何か質問はあるか?」
「質問って言うか…一つ言わないといけないことが。」
土方は首を傾げる。
「私、この時代の字書けないし、読めないです。」
「は?????つーことはなんだ、先の世は今と字が変わっちまってるってことか?」
「ええ、そういうことです。」
土方は硯やら紙を準備し、みのりを呼び寄せ、
「お前の名前書いてみろよ。」
と、筆を渡す。
みのりは清書で丁寧に"原田 みのり"と書く。
「なんつーか、読めねえこともねえけど、汚ねえ字だな。」
土方は苦笑する。
みのりはムッとなって、
「失礼ですね、私の世ではこれが普通です。一応私は書も嗜んでましたから、一般的に綺麗なほうですよ。」
と、反論する。
「つってもな~、これで書類書かせたりする訳にはいかねえし、もちろん読めねえだろ?……そうだな、山南さんに教えてもらえ。」
「あぁ、確かに山南さん、土方さんより字綺麗そうですもんね。」
また土方の額に青筋が浮かぶ。
しかし、そこは副長。
なんとか怒りを落ち着けた。
「俺が後から頼んどくから、空いた時にでも習ってこい。書類整理はある程度分かるようになってからでいい。」
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