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重ねられた唇はあっという間に深く混じり合い、玄関入って直ぐにあるキッチンの壁に私は押し付けられた。
私の顔の横には山川の腕があって完全に自由を奪われる形で唇は何度も重ねられ息が苦しくなって逃げようとしてもそれを許すことなく舌を絡め取られる。
静かなキッチンに二人の唇を重ねる音だけが響く。
そしてーーー
「…ぅ、ん」
私が漏らした甘い声を合図に山川の右手がブラウスのボタンに掛けられーー
「ん、ねぇ……」
一瞬、唇が離れた隙に声を出す。
「なに?」
唇は離して貰えたものの山川の手はブラウスのボタンに掛かったままだ。なんなら外そうと器用にその指先は動いている。
「えっと……その……」
だって……付き合ってから1ヶ月。
ずっとキスすることもなかったのに今日に限ってなんでこの人はこんなにもがっついてるの?
って聞けないよぉ。
「あっ、悪ぃ……。」
漸く私の困惑顔に気づいた山川はゆっくりと離れようとした。けれどーーー
「なぁ?なんで袖引っ張ってんの?そんな可愛いことされたら止められないじゃん…ったく。」
何故か私は離れようとする山川のシャツの袖をきゅっと引っ張っていた。
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