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ふと空を見上げる。キラキラと瞬く星が静かに光っている。それを見ながら、遠い記憶を思い出す。
外で会いたがらない彼と、1度だけデートに行った日のことを。
まだ彼の息子が生まれていなくて、奥さんが同窓会のために地元に戻っている時だった。
お互いに仕事帰りに待ち合わせをして、知り合いがいないような少し遠くの街で夕飯を食べて、そのあと山に登った。夏だったこともあって、山頂付近から見える星空は本当に本当に綺麗だった。
今見ている星空の2倍は星が瞬いていて、綺麗だねって笑いあって、いつもとは違う、優しいキスをして。
その日はセックスをしなかったけれど、それでも心が満たされていた。
目を閉じてその光景をじっと思い出す、冷たい風が頬を撫でるのを感じて目を開ける。そこにはあの時ほどの星はなくて、隣にもあの人はいない。
また、心にポッカリと穴が空いたような気持ちになる。苦しくなる。
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