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ベランダ
夜中に目が覚めるのが嫌いだ。
ゆっくり目を開ける。彼がいたはずの隣に目を向けるが、ベットには私しかいなかった。のそのそと起き上がってあたりに散乱する服たちから、下着とTシャツだけを拾い上げて着る。ズボンまで履くのは面倒だった。
キッチンまで行き、小さな蛍光灯をつける。パチパチと点滅しながらついた蛍光灯の、無機質な光がシンクに注がれる。コップに水道水を入れ、すぐに飲み干した。部屋に戻ると微かにタバコの香りがする。彼が吸ってる、キャスターの香り。彼が残していった、香り。
その香りから逃れるようにベランダのドアを開け、サンダルを履いて外に出る。
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