Nega-Virus

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Nega-Virus

 午前の業務が終わった。竹井春乃がメッセージアプリのアラートマークをタップすると、午前の勤務中に届いていたメッセージが表示された。大学時代の友人たちのトークグループのものだ。 ゆっきー   おはよう。今起きた。もうお昼だね。みんなはそろそろ昼休みかな。 はるの   おはよー♪ ゆっきー   布団でうだうだしてたらこんな時間。こんなことしてたら、もうまともな生活には戻れないよね……。 はるの   そんなことないよ。ちゃんと起きられたんだから、それだけでもえらいじゃん。  春乃は、自分のデスクにお弁当をひろげたまま、箸をおいて返信をうった。そのまま携帯に返ってくるメッセージを待つ。液晶画面の中に白いフキダシが並んでいるところは、たてにつながった鯉のぼりみたいだ。  そのアプリの背景に表示されている画像は、ちょうど一年前に撮った写真で、大学時代に友人たちとキャンプ場でバーベキューをやったときの記念写真だった。十人ほど若者が集まった写真の中に、ゆっきーこと梶原真由紀の姿もある。漫画のキャラクターみたいに口を逆三角形にあけて、明るく笑っている。その写真を、春乃はお守りのようにアプリの背景に貼りつけている。 ゆっきー   ありがと。はるのはいつも励ましてくれるよね。  表示されたメッセージを見て、春乃はほっとした。今日の真由紀のコンディションはそれほど悪くないようだ。
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