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化けの皮
彼に振られた。しかも、私の誕生日に。
彼が別の女と歩いているところを見かけて、それを責めると彼はあっさりとそれを認めて、他に好きな人ができたから、別れてほしいと切り出されたのだ。私は、彼が謝って、その女と別れてくれれば、一度きりの過ちとして許すつもりだったのだ。私が何を言っても、無駄だった。自分の不貞を棚にあげて、私の欠点を並べ立てて、別れる理由をさも私の所為のように言われた。悔しかった。悔しくて、何日も何日も泣き暮していた。
女の職場というのは怖い。どこで私の破局を聞きつけたのか、後輩達が私のことを影で噂しているのは知っている。百合子先輩は、大学の時から付き合っていた彼氏に振られたらしい。やはり付き合いが長すぎると、飽きてしまうのだろうかとか、いろいろと好き勝手に想像を巡らせて楽しそうに話しているのを、陰から見ていたのだ。人の不幸はまさに、蜜の味。
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