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「待って恵!」
けれどどんなに手を引っ張っても動こうとしない良子を不思議に思ったとき、後ろから良子に呼び止められる。
振り向くと良子は何故だか不気味なくらいに無表情でこちらを見ていて、私は繋いだ手はそのままに、じっと良子を見つめた。
「ごめん、今のなし」
「え?」
「嘘なんだ、岡崎くんを好きだっていうのは」
「う、そ? 何で?」
「あんまり恵と恋バナしたことないからさ、どんな反応するかなーって。ごめんごめん」
「……もー、何それ」
嘘だと言われて心底ほっとした。これで良子に岡崎くんを取られなくて済む。
でも、笑って謝ってる良子の顔が、笑ってるのにやっぱりどこか表情が硬いというか、嘘っぽいというか、何か違和感があるのが気になる。
……まあ、別にいいか。
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