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すると、その女性はゆっくりと脚の角度を反対側の四十五度にもっていき、僕と目を合わせたまま微笑みを作った。
このままではまずい。
僕は「大丈夫ですか?」と、さも今気付いたようなふりをして階段を駆け上がった。
「あっ、大丈夫です」と言いながら、ばらまかれてしまった書類を懸命に拾う彼女。
僕もしゃがみこんで書類をかき集めた。
「あっ、すみません」と謝る彼女のほうからは、甘く優しいそれでいて爽やかな香りが漂ってくる。
覗いていた言い訳もしくは、覗いてはいなかったと否定をしたかったのだが、いいアイデアが浮かばない。
頭の中で、さっき見たスカートの中の映像と、今も近くから漂ってくるいい香りと、込みあげてくる恥ずかしさとがこんがらがって、頭が全く機能しない。
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