第4話 副作用

2/12
344人が本棚に入れています
本棚に追加
/652ページ
 翌朝、僕は出勤するや否や「おはよう、おこげ、大丈夫か?」とゲージの中を覗き込んだ。  かき集めた牧草の中にじっとうずくまり、全く動こうとしないおこげ。 「どうしたんだ、おこげ!」  やはりP-SEの副作用がでてしまったのだろうか。  急いでゲージの蓋を開け、おこげを抱き上げた。  手の中で小さく震えているおこげ。  少し熱もあるようだ。 「ごめんな、僕のせいで」  腫瘍の周りが赤く腫れあがり、炎症を起こしてしまっている。  特に中央部は強く腫れていて、皮膚が薄くなり突っ張ってしまっている。 「これは……」  もしかして、化膿してしまったのか……。 「ああっ、P-SEには表皮ブドウ球菌が入っているのだから、化膿してあたりまえか。僕はバカだ……。ごめんおこげ、本当にごめん」  どうしよう……。
/652ページ

最初のコメントを投稿しよう!