現実とはこんなもの

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 明日からやっと連休開始だったのに、寝て過ごそうか。  もう全てを忘れてしまいたい、よしっ、やっぱり飲もう。  そうして服も着替えずに冷蔵庫を開けたら。 「さ……さ……さむい……」  男の子がいた。  は?  一度扉を閉じて、もう一度開く。 「……さ……寒いんだってばっ!!」  冷蔵庫の中身をばら撒きながら飛び出してきたのは、子供と言うには大き過ぎるが、大人と言うには若すぎる、とにかく男。  ぶるぶる震えながら、その震えた指を俺に向けて来た。 「いつまで閉じ込めておくつもりだったんだよ! もう半日もいたんだぞ! 謝れ!」  どうやら怒っているようだが、その幼い顔がどうにもそれを感じさせない。  いやいやいやいやいや、まずその前に。 「お前誰だ」
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