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現実とはこんなもの
「落ち着け神崎(かんざき)!!」
怒鳴り声とまでは言わないが、それでも遠藤にしては珍しく大きな声だった。
「俺は気にしてない、寧ろ俺の責任なんだ。事が大きくならなかったんだし、もう過ぎた事、笑い話で良いんだよ」
「……わかった」
酒の席。
一(ひと)プロジェクトを終えたチームで、打ち上げの真っ最中だったのだが、新人のふっと始めた笑い話に。
俺一人笑えなかった。
唯一の同僚、遠藤がプロジェクト終了間近に遅刻して来たのだ。
しかも、大事な資料も忘れて来る始末。
理由は分かりきっている。
この一ヶ月、寝る間も惜しんで進めていた為、その疲労が重なったのだろう。
俺がリーダーとは言え、副リーダーと言う初めての肩書きにえらく緊張してたのは言うまでもない。
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