一人じゃない。

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「アスリートとしてはまあまあ、かな。でも、トップとはとても言えないね。」 「そう。でも、少しでもハバが早く走れるように、あたしアドバイスするよ。」 「そうか。ありがとう。」 「でもさあ、ハバ。あなたこんな夜中に走ってどうするつもり?」 「わからないよ。でも、むしょうに走りたくて仕方ないんだ。」 せなは、ハーバートをじっと見つめた。 「ねえ、ハバ。あなたがただの自己満足のためだけに走っているとは思えないの。だからたくさんの人たちの前で、あなたの力を見せつけてもいいんじゃないかしら。」 「じゃあ、どうしたらいいんだよ?」 「試合に出るのよ!」 「えっ…」 ハーバートは言葉につまった。試合に出て自分の力を試すなど、思いもよらなかったのだ。 でも、せなにそういわれると、自分のなかにも、 「俺の力を見せつけたい。」 という思いがムクムクとわきあがって来るのを感じた。 こうして、ハーバートとせなの、真夜中の挑戦が始まった。
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