第1章

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「サタンとお呼び下さい」  宵闇に雷鳴が轟く。  海は渦を巻き波を荒だたせた。  風は吹き荒れ木々をなぎ倒した。  山々は火柱を上げた。  河川は氾濫し逆流を始めた。  それが七日間続き、全てが水の底に沈み何も無くなった。    漸く雨が止まり雲の切れ目から光が再び差し込んだ中に本当のチェスのプレイヤーが現れ、 広く大きなただの水だけの眼下を見回し微笑んだ。  その様子を震えながら自らがチェスプレイヤーだと思っていた天界の長と地界の長が見つめていた。  本当のチェスプレイヤーはその様子を見て微笑みを彼等に向けた。 「ご苦労でしたね 」微笑みながら言った。  静かに波打つ水面には様々な偶像やシンボル、特徴的な建物の屋根の一部やらが揺蕩っている。  雲が消え去り晴れ渡った。新しい世界の始まりを伝える様に。
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