誰だよ、女子高羨ましいとか言ったヤツ。

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学ランに慣れてしまった体をブレザーで包み 前とは違う見慣れない通学路を地図を頼りに歩く。 まだ見ぬ新生活への期待を胸を膨らませ、目標を立て 新たな出逢いを求む。 「、、、だる。」 ーーンなことあるわけねーだろ、ないない。 あり得ない。ブレザーでかいし。 人混みで吐きそうだし。まだ眠いし。 若者がみんな、血気盛んだと思うなよ。こちとら、離婚秒読みの夫婦以上に冷めてるわ。 体に倦怠感がのしかかる。春になれば毎年こんなだが、今回は特に酷い。 女子校に通うから、だろうかな。憂鬱で仕方ない。 「うわっ…」 足を止める。 顔を上げると、目の前にそびえ立つ白を基調とした校舎、しかも四階建て。 まだ汚れを知らないピカピカな外観は、いたいけな子羊を惑わすためのものであろう。 見れば見るほど削がれる体力。要するに面倒になっているのだ。 俺はしぶしぶ校門を潜った。『桜ノ宮高校』の黒字だけが、一人の男子を見送った。 「えー、と…Kの205、Kの205…」 自分の下駄箱の番号を小さく復唱する。 そうして周りを見渡しながら、幾度と照らし合わせを繰り返す。 単純な作業でも、この数の多さには疲れる。 不満を垂らしつつも、やっと下駄箱を発見した。蓋を開けるとそこには真新しい黒のローファーがあった。それを手に取り床に置き、脱いだスニーカーを入れた、あと足を通した。
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