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空から、白いものが滴る。
たくさんの、小さな、不安定な、水の結晶。
それらは地球に落ちて、消えて往く。
ぴたぴたと、冷たい音を奏でながら。
時空に溢れている奇蹟の一つだった。
この世界には奇蹟がありあまっている。
私はずっと夜闇を見据え、立ち止まっていた。
時間の経過は意味をなさなくなっていた。
綿を重ねるような奇蹟は、後から後から降り積もる。
そうだ。
こんな愛おしい冷たい感情を。
私の名前にしよう。
そう願い、思ったことで私は幽霊でなくなった。
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