第一章 智子

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最初は俺を殺そうと天井から覗いたらしいが、幸い俺は実家にいたので難を免れた。 そして夜、智子がいつもの様に「宮本さん」と言った事に腹を立て、 天井の板を引っ剥がして智子のいるベッドの上に飛び降りて首を絞めながら智子を犯した。 「アイツはいない!アイツは留守だ!そしていつも見ていたのは俺だ!」 と叫びながら首を絞め殺害。そして中に果てたという。 智子が俺に惚れていたのかどうかはもう解らないが、佐山はそう思っていたのだろう。 平穏な日々は戻ったが、思い込みと思い込みの凝り固まった部屋と部屋に挟まれて過ごすのは 何だかもう嫌になってしまったので、俺はアパートを出る事にした。 警察には勿論俺が覗いていた事は言っていないが、 俺が二人を狂わせた様な気がして後ろめたかったっていうのもあった。 荷物を送り出し、ドアを閉める時に智子が淫靡に微笑んで立っていた気がした。
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