らくがき帳+

18/50
前へ
/102ページ
次へ
さて、またしても一人遅れた私ですが、更に運の悪い事に私のクラスの下駄箱は彼女達のクラスとは別の昇降口にありました。 つまり、一人で暗い廊下を延々と歩かなければならないのです。 ほの暗い中、火災報知器のランプが嫌に赤く光っていたのをよく覚えています。 しかし、常に勝ち気で時に下品な話題で盛り上がる彼女達の可愛らしい一面を見た気がして、私は怖さも感じず気分良く歩いておりました。 それなのに。 私は、行く先のトイレの照明が煌々と点いている事に気付いてしまったのです。 ーー『点いていたトイレの電気がいきなり消えた』 それでも私は頭をもたげる不安を拒絶し、足を止めることはありませんでした。 そして、トイレの手前に差し掛かった時。 バチン、と 私が近付くのを見計らっていた様に、明かりが消えたのです。 私は思わず「うわっ、ビックリした」と声に出してしまいました。 自分でもビックリするぐらい棒読みで。 ーー自分って本当に驚くと上手くリアクション取れないんだな。 そんな間抜けな事を考えながら実際はかなり動揺していた為か直後の記憶が曖昧なのですが。 確か私はトイレの前を通り過ぎて昇降口へ向かった筈です。 一人きりで校舎に取り残されるよりはましですから。 とにかく、そのまま進む私の視界は徐々に明るくなって行きました。 昇降口のすぐ側に階段があり、照明が周囲を照らしているのです。 ここまで来ればもう安心、そう思えました。 ああ、そう。 まだ終わりでは無かったのです。 照明の下、私はとうとう見てしまったのです。 階段を駆け上がる男子生徒の後ろ姿を。 男子生徒の後ろ姿を。 ジャージでした。 足がありました。 どう見ても生身でした。 おい。お前の悪戯か。 逃げ遅れてんじゃねーよ。 まだ続く→
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加