視緑王女

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思いきりルネディアは頷いた。隣の国とはいえ、この国はルネディアには知らない事ばかりだった。彼女の国には無い魔法が見たくて、ルネディアはオデアスの後を着いて行った。 オデアスの部屋に入り、彼は丸い輪が付いた金属の台が付いたような物を持って来た。 「これは?」 「この中を見ていて」 目の前の机の上にその輪のような物を置き、オデアスは何かを呟いた。すると、その輪が回転し始め、中の空洞のような所に小さな夜空を散りばめたかのような空間が現れた。 「すごい――これ、いったいどうなっているのですか」 「魔法でしかけが動くようになっているんだ。これ、僕が作ったんだよ」 「オデアス様が? すごいわ」 瞳をきらきらさせながら、ルネディアはオデアスが作った物に見入った。オデアスはすっかり嬉しくなり、ルネディアに色々な物を見せた。ルネディアが帰る頃までには、二人はすっかり仲良くなっていた。 「ルネディア、また会える?」 見送りの時、オデアスが名残惜しそうにそう聞いてきた。ルネディアは自分の父の顔を見上げた。父王はルネディアの頭を撫でながら頷くと、オデアスが嬉しそうな表情を浮かべた。二人は再会の約束をし、別れを告げた。 ルネディアは自らの国に帰ってから、オデアスに手紙を送った。オデアスも手紙を返してくれ、ルネディアにとってそれは唯一の楽しみとなっていた。     
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