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そんなある日、父王に呼ばれ部屋に入ると王が険しい顔をしていた。
「どうなされたのお父様」
父王が重々しく口を開いた。
「隣の国から第三王女を嫁に欲しいとの申し出があった」
「ま、まさかオデアス様……」
父王がゆっくりと頷いた。
「そんな! わたくし私オデアス様にお嫌われたと思っておりましたのに」
ルネディアの手が震えだした。四番目とは言え、ルネディアは王族の身。断る事など出来なかった。それに、友好を結んでいる国との間に、余計な荒波を立てたくない。得体の知れない力を使う国に、逆らう事も出来るが、民がどう思うだろうか。他国に侵略される可能性もあった。
「隣国のオデアス王子とは仲良くしていたのに、お嫌なのですか」
何も知らない母がそう聞いてきた。心配かけたくないと思い、母には何も言って無かったのだ。
「……私」
「ルネディア。こんな事言いたくは無いのだが、最近穀物を買い占めようとしている者がいるようでな。どうやら隣の国の者だと言うらしいのだ」
父王がため息共にそう吐き出した。ルネディアが口を押さえる。
「そんな」
「おそらく、ルネディアと婚約したい為ではないだろうか」
そんな馬鹿な事をと、ルネディアには言う事が出来なかった。
「分かりました。私、隣の国へ参ります」
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