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外はまだ雨が降っていた。
日が暮れて、外はもう暗くなっていたけれど、
雨が止む気配はなかった。
いつも日が暮れると帰ることにしている。
僕は図書館の世界からガラスの扉を通って、抜け出した。雨の世界が、また色を変えて僕を迎い入れた。
ここは田舎だ。
だからバス停では待たなければならない。
1時間に1本あるかないか。それが田舎でのバスだ。
バス停には明かりがあった。
昔は淡い色をした、薄い黄色の、それでいて少し暗い、水銀灯だった。そこには人の営みを感じ取れた。
それが今は強い光を放つLEDになっている。
光は真っ白になっていて、バス停の中に暗さはどこにもなかった。そこには人の営みは感じられず、文明の力強さがあった。
そこで僕は1人で雨のオペラを見ていた。
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