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あの日のことを思い出して夜空に仰ぐ。
綺麗な空だ。満天の星空。空に月は出ていない。
黒い空に水しぶきの星が散る。
あの日のあなたを思い出す。
僕はあの後、やはり3つのバス停を止まり、4つ目のバス停で降りた。
結局その間あなたは僕の視界に入ることは少しもなかった。降りる時に一瞬見えたが、それだけだった。それにあなたは僕を見ていなかった。
バス停でのたった少しの時間。
しかも会話の弾まない男。あなたはもう僕のことなど覚えていないだろう。
けれど、僕はあなたを忘れることなんで出来ない。バスの窓に映る僕の無表情な顔はあなたを見ようと必死だった。だが、窓に映るのは僕の情けない無表情な顔と背もたればかりだった。
僕は、あなたを思い出すと心が海に浸かる。
あなたという大海原に僕は漂っている。いつまでたっても岸につくことはない。あるのは僕の体1つだけ。救難信号をだそう。あなただけに向けて。
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