マンドラゴラの恋人

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 傷の治療を始める際、万が一を考えて、エディは猿轡を噛むことにした。 「たまには、こういうプレイもいい・・・・・・ぐふぅっ!」 「さっさとしなさい」  腹に一撃加えて準備は整った。    まずは腐れかけている根を切り落とし、丁寧に消毒する。  人間にとっては腕か脚を一本失うようなものなのか、エディはひどく苦しみ、何度も気を失った。    アリシアも気を失いそうだったが、他に頼れる者はいない。  必死で堪えて治療を行った。  そして、持ってきた魔晶石の出番である。 「魔晶石には魔力が込められている。・・・・・・マンドラゴラも魔物だもの。きっと、この魔力で回復するはず・・・・・・!」  アリシアは気を失ったままのエディに向かって魔晶石の魔力を解放した。ひとつ、またひとつと魔晶石の魔力が枯渇し、ただの石ころへと変わっていく。 「お願い、元気になって・・・・・・お願い・・・・・・!」  いったい何時間そうしていたのか。  十八個目の魔晶石が石ころになった時、少しだけエディの顔色がよくなった。  更にもう二つほどの魔晶石を使い、エディの呼吸が整った事を確認して猿轡を外してやる。  そして、アリシアはようやく安堵の息を吐き出した。 「良かった・・・・・・エディ・・・・・・」 「ん・・・・・・アリシア」  まだエディの意識は戻らない。それなのにアリシアを探すようにその腕が上がり、彷徨う。  アリシアは微笑みを浮かべ、その手をとった。  ぐっしょりと濡れた体に今更ながら気が付き、小さくくしゃみをして空を見上げる。  雨はもう上がっていた。
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