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強い口調で促されたエディは、渋々といった様子で根のひとつを土から出した。
その根は半ばあたりからぶにぶにと水ぶくれしていて、腐れかけていることが一目で分かる。
ああ、なんてこと。
もう一度そう言い掛けたが、アリシアはぐっと堪えた。
今は、嘆くよりも行動するべき時だ。
「・・・・・・少しだけ待っていて。剪定用の鋏と・・・・・・いえ、鉈がいいかしら。とにかく、切る物と魔晶石を持ってくるわ。エディ、わたしに貴方を任せてくれる?」
アリシアの問いかけに、エディはいつもの笑顔で答える。
「もちろん。君になら、全てを任せられるよ。なんだったら、人生・・・・・・じゃなくて植物生? を任せたいくらいだ」
いつの通りの軽口だったが、アリシアに叱りつける余裕はない。
緊張している彼女に気付いて、エディは言った。
「ねえ、アリシア。今回の事で責任を感じているのなら、それは違うよ。僕は僕がそうしたかったからやったに過ぎない。結果的にこうなったけど、全て自業自得なんだよ」
「・・・・・・なんで、こうなるってわかっていたのに」
「根をくれたのか、かい? だってそれは当然だよ。君が君の大切な人を心配して泣きそうだったからさ」
「・・・・・・それだけで?」
「僕にとっては、一大事だったのさ」
気障っぽく笑って言ったエディは、つと真面目な表情になり、アリシアの手を包むように握った。
アリシアは驚いて肩を揺らしたが、その手を振り払うことはしなかった。
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