君にもう一度あの歌を

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ゆっくり休日の朝寝坊を決め込もうと思っていたのだが、けたたましくスマートフォンに起こされたのだ。今日出勤するはずの中堅のスタッフからの電話で、もう三月だというのに季節はずれのインフルエンザにかかりとても出勤できないという報告されたのだ。 急なシフトの調整は難しく、店長の自分が出勤する他なかった。急に出勤が決まり、朝寝坊どころか、ゆっくりと朝食をとることも出来なかったし、癖の強い髪をいつもより時間をかけずに纏めたため、何度もヘアピンを留め直す事になった。 こんな日に限って、いつもより来客数は多く、おまけに新人がお客様のクレジットカードを一桁多い金額で切ってしまい、あわや大惨事のクレームが発生するところだった。 取り損ねたお昼休みをようやく順番に回して、どうにかやっと自分の番が来たのだ。
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